因果律“causality”

 

物質は記憶を保持しないように見える。だから、直前の状態だけから直後の状態を決める因果律に従う。
複雑なシステムになると情報を暗黙的に蓄えはじめる。
AIがよい例だ。

生命は、神経系や身体に大量の記憶を蓄え、それらを現在と巧妙に結び付ける。
だから因果律に従わない。

因果律は、外部から測定可能な量の関数関係として、直前と直後の関係を表す。
従って外部から測定できない要素を無視できるときのみ成り立つ。

暗黙に情報が保持されるという部分を無視すると因果律を設定できる。
その無視が正当化できる状況を「物質的」、正当化できなくなる向きを「生命的」と呼びたい。

因果律の罠から抜ける。
生きものが住んでいる世界では、まったく同じことは繰り返されない。
常にループから抜けられる可能性がある。

因果律の罠にはまると、自ら同じことを繰り返してしまう。
因果律の外に目を向けると、その瞬間から、新しいことが始まる。