与贈工房物語④ ~アメーバは、こころをコンパスにして進む~

アメーバは、こころをコンパスにして進む

 

チームが結成され、Zoom革命のイベント、Zoom革命のコンサルタントなど、いくつかのプロジェクトが動き始めました。田原とさわさんが、ほぼフルタイムで、てっちさんと浅井さんが半分ほどのコミット、中西さん、スギオカさんは、副業で薄く関わる感じで進んでいきました。全体として収入が少ない中で、収益を分配していくので、しばらくは、経済的に厳しい時期が続きました。

お金が回っていないときは、利益の出る方向に動きたくなります。しかし、利益優先で動くとチームの存在理由が失われます。いかにして、チームの存在理由を貫けるかというのが、お金が回っていない時期を乗り切るために重要になります。

その点で、このチームにさわさんがいたことが、大きな助けになりました。

さわさんは、311をきっかけにして公認会計士を辞め、仙台にコミュニティカフェ「Sawa’s Cafe」を開きました。今は、カフェを閉じ、自らを社会変革実験台と名づけて、「やりたいことをやっても人は生きていける」ということを証明しようとしています。さわさんが、究極に目指しているのは、人が助け合うお金がいらない社会です。

佐藤さわインタビュー

 

人生をちゃぶ台返ししたさわさんが、「田原さんのやろうとしていることは、私がやりたい社会変革に繋がるから一緒にやるよ」ということでチームに加わっていて、本人は、貯金を使い果たして社会変革のために行動しています。

経済的に苦しいからといって、自分が信じていることを曲げて利益重視で動くなら、さわさんは、このチームから去っていくだろうと考えると、踏ん張ろうという気持ちになります。メンバーの在り方が、チームが進む方向を決める上で、大きな意味を持つのだということを実感しました。

チームの行動原理として、利益を上げることよりも、チームのメンバーを大切にすることを優先することが、徐々に定着してきました。

自分も含めて、このチームのメンバーが、心からやりたいことをやりたい。
お互いの想いを大切にすることから行動を起こしたい。
そして、それでも生きていけることを証明したい。

私たちは、それをやりたいのだということが、だんだんと明確になってきました。

チームの対話の中で「私たちは何を心からやりたいのだろうか?」という問いがいつも漂うようになり、違う方向に行こうとすると、明らかに動きがピタッと止まってしまうという現象が出てきました。

だんだんと心からやりたいことしかできない身体になってきてしまいました。その結果、市場のニーズなどよりも、それぞれのこころが感じていることの総和をコンパスとして使いながら、世界を進んでいくチームになってきたのです。

この頃、秩父のローカルメディアをやっている浅見裕さん(あざみっくす)がチームに参加し、主にZoom革命のプロジェクトに加わることになりました。